ATAC2000移動運用記

JG1BIL 菊地 福也

1.七夕台風3号の洗礼

2000年7月7日(金)今日は七夕。織姫と彦星が年に一度デートをするロマンチックな夜のはずなのに、中心気圧965hp、中心から150Km以内は25m/s以上の暴風雨。大型の台風3号が北北東に進路を取り、地震で揺れる八丈島及び三宅島を巻き込み45Km/hのスピードで関東地方を直撃しようとしていた。

夜半になると共に、雨脚は強くなり、横殴りの雨がたたきつけるように降りしきっている。交通機関もところどころ寸断され始めた。明日のATAC2000は大丈夫か? そんな不安を抱きながら、気象情報を見つめていた。

一夜明けて、外を見ると益々雨脚が強くなっているのに気づく。しかし、進路は予想よりも東側を進んでいる。房総半島をかすめて北上を続けるようだ。この分では、午前中には雨が上がるかも知れない。

2. いざ出発。

本日はATAC2000総会当日。青梅市にある「簡保の宿」がその会場。
ATAC2000は、1エリアの東芝の各事業場のAMCメンバーが年一回集い合う総会。今年は青梅工場と日野工場が幹事を務めている。(ご苦労様) 同じコマーシャルで無線をこよなく愛する仲間がこんなにもいるのかと思うと心強い。

bilきょうは、お隣、板橋区在住の東芝府中アマチュア無線クラブ(JA1YVT)メンバーの国原さんと共に青梅に向かう予定。
荷物の準備をしていると有線がなった。タイミングよく国原さんであった。

12時頃自宅を出発する旨打ち合わせを行い、出発の準備を進めた。

今回は、移動運用よりも総会が主体。でも習性なのか、430MHZ10エレメントシングル八木、50MHZHB9CV、HF帯7MHZと21MHZのダブルダブレットを用意して、バッテリーも積み込んだ。
430MHZメインチャンネルで国原さんを呼ぶも応答無し。「まっいいか!」いざ出発じゃ!。
時刻は11時30分。近くのスタンドで給油を済ませ、板橋区の待ち合わせ場所へへと向かった。

3. ローカル局としばし歓談

待ち合わせ場所の西台駅前通りに到着し、国原さんを呼ぶと一発で応答があった。
「もう西台の駅前についたよ。」待ち合わせ時間よりも少し早い。国原さんは慌てて飛び出して来たようだ。
この無線を近くのローカル局が聞きつけサブチャンネルにブレークイン。 7L4XDB(川島さん)であった。

川島さんは、練馬区、板橋区のローカルラグチューメンバーで年数回はアイボールしている。今回、珍しくモービル運用したものだから捕まってしまった。
近くを走行しているらしく、路上で落ち合うことになった。豪快なランドクルーザーに目新しいHF帯のモービルアンテナが設置されている。
最近仕入れたものの、まだHF帯の免許がおりずに運用できないとのこと。後、数週間の辛抱か?近くの公園に行ってANT調整を行うようだ。
VU帯と違い、HF帯を使用すると全国から聞こえて来るので世界観が変わる。
ローカル局が軽井沢に別荘を持っており、その方の影響かHF帯に足を踏み込もうとしているのだ。
はまると抜けられないHF帯運用の奥の深さを味わって貰いたい。
そんな話をしているうちに、時間が経ち青梅に向けて出発の時間が過ぎてしまった。

4. ラーメン食べられない編。

新青梅街道を青梅方面に向けて走って行くと、この街道沿いは、レストランばかりが目立つ。bil2
また、結構、アマチュア無線のアンテナも立っている。GPから巨大なタワーまで千差万別。東京郊外でアンテナが張れるのはうらやましい限りである。
独身貴族の国原さんと途中でチャージをしようということで、ラーメン屋を探しているのだが、なかなか駐車場のあるお店をさがすのに苦労した。
最近、本格的なラーメンは食べていない。先月初め、那須移動の際に東北道佐野PAで佐野ラーメンを食べたのを思い出す。

何度目かのラーメン屋を通り過ぎて、前方交差点の先に見えて来たのは、東京ラーメン、札幌ラーメン、九州ラーメンと看板が出ている店があった。
「よし! ここに入ろう」ということで、交差点を直進して左の駐車場に入っていった。
店の入り口が2カ所あった。どちらも同じか? ということで手前の入り口を入って行った。「いらっしゃいませ!」元気なYLさんの声。でも 何か雰囲気が違う。

テーブルについてメニューをみるとラーメンが無い。「何だこのお店は?」お子さまランチがある。「な〜んだ。」普通のレストランではないか。ラーメンが食べたいのに。どうしてこうなってしまったのだろう。

席を立って当たりを見渡すと、駐車場は共有でお店が2件連立していたのだ。
手前の入り口から入ったのが間違いで奥の入り口から入ればラーメン屋だったのだ。
失敗!失敗! 仕方なく普通のレストランメニューから定食を選んで食べた。

5.地元の道先案内人

午後になって台風一過となり、気温は鰻登り。車の中はエアコン無しでは走れない。
ファンを最高に回して青梅街道を一路「簡保の宿」目指して走行していた。
青梅付近では、本社ハムクラブの7N3HUP(和智さん)が地元で待機してくれているはず。
東芝青梅工場の看板が見えて来た頃、「7N3HUP入感ありますか」と呼んで見た。「こちら7N3HUP 59です」と応答してきた。

大体の道順はインプットされているものの、より確実にするために、地元の和智さんを呼び出したのだ。
和智さんは 車の大好き人間、我が本社クラブの若手エース。
しかし、詳細を聞いている内に一抹の不安が・・。地元は地元でも、昨日、本人から教えて貰った道は走ったことがないとのこと。「おい おい 大丈夫か?」
結局、途中で合流して一緒に行くことになった。 ジョナサンの駐車場で待つこと15分。颯爽とアンテナのついた車が現着。kjv

和智さん先導で「簡保の宿」へと向かう。
途中 和智さんは何やら怪しげな発言。

この道は地元の人間でもそうは通らない道。「すぐそこのはずなんだけど〜」「この辺を右折すれば良いか?」なんて勝手に右折したものの「簡保の宿」は見あたらない。結局、配布された地図から判断するはめになった。当方の東芝製カーナビゲーションから判断してもう少し先に行って見ることにした。

そして左折。途中、府中の7L3KJV(星川さん)がハンディ片手に歩いているのを発見。ここからでは大変なので車に乗って貰った。やはり道に迷ったとのこと。
もう少し大きな看板を出して欲しいと思いつつ次に来ることがあるだろうか?
何とか宿を探し当てて一件落着。

6. ATAC2000総会第1部

会場では、幹事事業場の青梅工場日野工場のメンバーが、受付を行っている。今回は会費も高いが内容も豪華版。早速缶ビールが配られた。

割り振られた部屋に入ると、先客の小向工場メンバーがすでに浴衣姿でくつろいでおられた。軽く挨拶をしながら缶ビールで乾杯。道中、車の運転をしたせいか酔いが廻るのが早い。風呂に行く時間はもうない。ATAC2000メイン会場の会議室へと向かった。16時定刻に総会は始まった。ypd
恒例の各クラブ局の紹介から始まる。トップバーッターは、我が本社クラブから。

昨日、早武さんと総会原稿を書いていたのだが、早武さん自身が遅れてまだ来ていない。結局、早武さんがいないまま、岡村さん、和智さんと3人で、「開局したばかりながら、こんなに頑張っているよ」という内容で東芝ビルハムクラブのお披露目を行った。

参加メンバーは総勢41名。昨年と同じ規模だ。各局の自己紹介のみで約2時間が経過、イベントが始まる前にほとんどの時間ははここで費やされてしまった。でも、もっとも楽しいひとときでもあり、「亭主元気で留守が良い」を皆さん実践されていることを証明しているコーナーである。mku

その後、高草木氏のユニセフハムクラブの紹介、ZLOGソフト・パケット通信・等々の紹介が続いたが、素人の私には良く理解できなかった。

次のコンテスト必勝法では、移動運用の達人からのプレゼンテーション。
これは圧巻であった。日野工場大久保さんはあらかじめ、カシミールソフトで山からのの鳥観を分析、もっとも広く遠くまで飛ぶであろう地点に当たりを付けて、何十キロもの荷物を何回にも分けて山に担ぎあげるのだという。テントを設営して準備完了。コンテストに入る。結果は入賞の縦が証明している。(カシミールソフトについては岡村さんがCQ誌7月号で紹介しています)
更にはもう一人は、「1BOX車移動の達人。」の登場。
1BOXカーは正に中継車そのもの。パソコン、電源、LigはHF体から2400MHZまでAllband揃っている。
アンテナも、並のアンテナとは違い、常置場所運用で使うよりも大型のものが用意されている。本当にここまでやるか。という極限の移動スタイルを語っていました。

ATACにはこのような達人があと何人いることだろう。実に質の高いメンバーがおり、明日のアマチュア無線界を担っているような気がする。貴重な講演ありがとう。

19時に夕食。中広間を利用しての宴会が始まった。41名が輪になっての大宴会は何年ぶりだろうか? 以前は会社の部内旅行等で大宴会を行うのは常だったが、最近は部内旅行も無くなり、せいぜい立食パーティ位。久々の宴会らしい光景を目にした。料理に出たエビの頭のミソが旨く、いつまでも印象に残っている。

21時 再びATAC2000の続き

本日のメインエベントだ。
その名はオークション。
幹事が青梅工場日野工場とあって、PC周辺機器(HDD、MODEM等)。PCソフトウェア、低損失伝送ケーブル、コネクター等アマチュア無線家にとっては、涎のでるようなものばかりが並んでいる。また、自作のアンテナ等も並べられている。
私は、8DFBケーブル約80mを8000円で競り落として、2人で半分づつ分けた。(100円/mは格安)
更に8DFB用N型コネクターを10個1000円で購入した。(100円/1個も格安。)
まだまだ欲しいものはたくさん出品されている。参加メンバー思い思いのものを手に入れご機嫌の様子。
今回は、ボーナスが出た後でもあり、結構高い値段が付いてビックリ。
こうして初日の部は終了して各自各部屋に戻り、自由時間となった。

我が東芝ビルハムクラブでは、毎年ATACに参加してもQSLカードの交換がままならないので、今回は「有視界QSO」作戦(=ハンディ機を使用してQSOを行いその場でQSLカードを発行する)を練っていた。台風の為到着時間が遅れたためにこの自由時間に行うことにした。

交信局数は12局と少なかったようだ。ようだというのは、お酒の酔いが廻ってQSOどころではなく、寝てしまったからだ。

翌朝 朝5時半起床。7階の大浴場で温泉に浸る。綺麗な温泉でビックリ。何泉かな? 沸かし湯と聞いたが、先月の那須温泉の硫黄泉とは違い、透明で無味無臭。「本当に温泉だろうか?」こんなことを考えながら、ゆっくりとお湯に浸かり、昨夜の酔いを醒ましていた。

7.ATAC2000第2部

8時半ATAC2000第2部開始。
議題はJA1YTSの運営について。

JA1YTSは、東芝科学館で開局した東芝アマチュア無線クラブで、当時のCQ誌でも紹介されている栄光のアルファーコールクラブ局である。現在はATACの総称を指しATAC参加者が自動的にこのクラブ構成員になることで合意している。
しかし、クラブ局の実体がなく、運営に苦慮しているのが実状。
現在、星野OMが免許人となっているものの、JARL会費、電波利用料、QSLカード発行費用等の費用負担が明確にならず、栄光のクラブ局とは言え、どうして運営していくのか、昨年に引き続き結論が出なかった。
今後は、各事業場クラブ局の代表者会議を開き、来年までに結論を出していくことになった。それまでは、ATACの会計から必要資金を捻出し運営を続けることとした。
来年のATAC幹事は(京浜)と紹介された。昨晩(京浜)のメンバーが来て、「来年のATACは是非一緒にお願いしたい」と頼まれ、やむなく了解したところであったが、真意は伝わっていなかったようだ。
(京浜)メンバーからはお手伝いとして発表されてしまった。共同主催とお手伝いではずいぶん違う。今後、役割分担等煮詰めていかねばならない。

こうして2日間に渡るATAC2000は閉幕。また来年元気な姿で共にお会いできる事を誓って解散した。
幹事さん本当にご苦労様でした。

 

8. JR1MXX高橋邸訪問記

JH1MKU(早武さん)、JR1MXX(高橋さん)各局で道中ラグチュウをしながら帰途につく。
JF1RWZ(岡村さん)は、JA1ZI(小池さん)宅にHamlogのバージョンアップに行かれたらしい。
高橋さんは、東村山市在住とのこと。東芝府中アマチュア無線クラブでは、アンテナ制作に関してはちょっとうるさい。
CQ誌や会報でも制作記事が紹介されるほど制作通である。
何か「相当大きなタワーにすごいアンテナが上がっているらしい。」ともっぱらの噂。巨大なクリスマスツリーと言っている人もいる。
ちょうど帰り道で後ろから高橋さんが追いかけてくるような格好で交信している。
誰でもアマチュア無線を囓れば他人のアンテナも見たくなる。特に自作のアンテナともなると余計に好奇心がわく。

よし、高橋さん宅に寄ってアンテナを拝ませて貰おうっと。
「JR1MXX高橋さん。ちょっとお邪魔させてアンテナを拝ませて戴いて宜しいですか? 」「こちらJR1MXX 了解。ちょっとだけよ。」てな訳で、お邪魔することになりました。

移動運用は、様々なハプニングがあるから面白い。今回もひょんなところから、こうしてアンテナを見せてもらうことになった。
途中、高橋さんと待ち合わせして、先導して貰いながら、高橋さん宅へ誘導して戴いた。車はどこに止めれば良いのだろう? と思っていたらそんな不安はすぐに消えた。なんと高橋邸は、車を2台止められる駐車場がある豪邸であった。
車を降りて、上を見上げると、ジャックと豆の木ではないが、巨大なアンテナタワーが上空に伸びていた。その上には、予想もできないアンテナ群が・・・・。

「う〜ん 絶句!」となった次第である。mxx

先端に@1200MHZのループアンテナスタック。その下に、A430MHZヘンテナ19エレ2列2段。またその下側には、B144MHZの9エレ4パラのヘンテナ。更にその下にはC50MHZの6エレ八木アンテナ。更にその下にはDHF帯の5エレトライバンダーと続く。・・・。

エレメント数を正確に数える余裕が無かったがあのブーム長からすると相当なエレメント数になる。よくCQ誌に載っているEME通信用の多素子多列多段スタックアンテナを紹介されるが、そのようなアンテナ群と表現したら良いのだろうか?

まさに巨大なクリスマスツリーであった。
「これでもアンテナを少し減らした」んですって。?

タワーの基礎部分にはしっかりとアースがとられている。太いケーブルが何本も地中に向かって伸びている。
しっかりと銅板を埋めてアースをとっているとのこと。基本的な部分だけに、これだけ見てもアンテナ制作に対する執念のようなものを感じる。

自宅に上がらせて戴くと、またビックリ! 豪邸にはつきものの、大きなリビングに大きなソファー。廻りには美しい花や絵が飾られている。ここまではいいとして、
ビックリしたのは、このリビング全体が高橋さんのシャックであり、アンテナ工房と化しているのだ。

RigはHF帯から1200MHZまでラインナップされており、Log管理用に大きなディスクトップパソコンとラック、QSLカード整理用のBox等がところ狭しと並んでいる。
またアンテナ制作用の部材が、台所まで積まれている。(「二階の部屋も空いているところはすべてアンテナがあるんですよ」とは奥様の談)
完成したアンテナ6m、2mとたくさん転がっている。

「どうしよう岡村さん。」

私は、リビングの隅で畳1畳ほどのスペースをシャックにしている。(させて貰っている)JF1RWZ(岡村さん)も同様にリビングの一部をシャックにして壁には一切何も張らないという条件が奥様からついているとのこと。
高橋邸の奥様は、「昔はいろんなことを言ったりもしたけど、だんだんエスカレートしてここまで来ました。」「もうあきらめています。」とのことでした。
聞くところによると、今後は車庫の二階を増築してシャックにするという計画もあるとか。
何とも理解のある奥様とご家族をお持ちでうらやましい限りでした。

帰り際、2mHB9CVの部材を戴き、コネクタを取り付けるL字金具を、リビング工房で金鋸を使って切って戴きました。
何とも豪快な高橋邸を見学させて戴き、「亭主元気で留守が良い」なんて言われている場合ではない。と感じた私でした。

2000.7.9

JG1BIL 菊地福也(記)

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